2012-08-20

【POLYSICS】良い意味で期待を裏切り続ける基本姿勢

 結成15周年を迎えたPOLYSICSが、約3年振りのシングル作品となる「Lucky Star」をリリース。フミ(Ba&Vo&Synthe)がリードヴォーカルをとる、テクノポップチューンはPOLYSICSのド真ん中でありながら、新境地となる力作です!
──ニューシングル「Lucky Star」が完成。約3年振りのシングルリリースというのは、何かきっかけがあったのですか?

ハヤシ「3年振りのシングルだっていうのは、出来上がってから知ったんですけど。新体制になって約2年、アルバム『Oh! No! It's Heavy Polysick!!!』を出して、15周年記念盤『15th P』を出して。自分たちのサウンドをどんどん作っていく作業をしていく中で、この後、何を作りたいかな?と思った時、“そういえば自分たちの得意としていたテクノポップな曲、「Baby BIAS」や「NEW WAVE JACKET」みたいな曲を作ってないな”と思ったのが最初で。」

──確かにこの感じは久しぶりな感じがしましたね。

ハヤシ「そう。最近は自分たちのロックな部分を太く見せていこうと思ってて、それはひとつできたと思っているんですね。“次はポップな曲を作ろう”という流れに自然となって、“だったら、シングルとして出すことをあえて意識して作ろう”ってところから、曲作りが始まったんです。今回はフミとかなりガッツリと曲作りをして。」

──「Lucky Star」も2曲目の「No Control」も作詞作曲ともに、ハヤシくんとフミさんの名前がクレジットされてますね。

ハヤシ「そうそう。最初から自然とフミが曲作りに参加してね?」

フミ「今までも曲作りはしてるんですけど、今回はスタジオで楽器持ってじゃなくて、ふたりでコンピューターの前に座って。」

ハヤシ「シーケンスの部分も“そうじゃない”とか、フミが今回は積極的に参加して、途中、僕がマニュピレーターになったような瞬間もあったんですけど(笑)。ふたりでアイデアを出し合って、どんどん新しいものができていく感じは面白くて。」

──「Lucky Star」の明るさや突き抜けた感じは、今までのポップな曲たちとも明らかに違ってますよね。ド真ん中だけど新しいみたいな。

ハヤシ「そうなんです。電子音のポップさというのはもちろんあるんですけど、バンドサウンドともガッツリ融合した曲は今までなくて。そこは3人体制になって強化してきた部分で、ちゃんと融合していないと現在のPOLYSICSにはならないと思うから、しっかりアピールしなきゃいけないと思ってました。シンセはポップに鳴ってるけど、バンドはガッツリ鳴っててライヴをイメージさせるみたいな。そんなアレンジにはこだわりましたね。」

──フミさんはPOLYSICSのポップな面を出したいと思った時、こんな曲にしたいってイメージはすぐに沸きました?

フミ「すぐには沸かなかったので、ハヤシくんと作業しながら、アイデアが浮かんだらトライしてみたいなことを繰り返して。1曲に3~4日くらいかけて、トラックの抜き差しのすごい細かい部分までこだわって作りました。「No Control」は「Lucky Star」よりは感覚的な感じで、シーケンスのピッチをわざと悪くして、ノーコントロールぶりを出してみたりとか楽しみながら作って(笑)。」

ハヤシ「“このピッチの悪さがいいんだよ!”っていうのは、フミがすごくこだわったところでしたね。フミは不協和音的なところやズレてるところが面白いみたいで。“違和感のある歪なポップにしよう”みたいな発想は僕ひとりでは生まれないので、作っていてすごく面白かったですね。あと、歌のディレクションをフミがやっていて。歌詞の《逃げろ 不覚》の部分を歌ったら、“違う! 不覚はもっと‘やっちまったぁ’みたいな感じで”とか、結構細かく指示されて、僕も頑張って演技力を発揮して…。」

──お互いに新しい才能が開花されたわけですね(笑)。フミさんがリードヴォーカルをとるというのも自然な流れで?

ハヤシ「そうですね。シングルで「Baby BIAS」みたいなテクノポップ的な曲を作るなら、フミだなというのは自然とあって。」

フミ「曲を作る時、自分で歌うからってのはあんまり意識しなかったですけどね。それより、曲を作る作業が新鮮で没頭できたから、しっかりこだわれたんだと思っていて。今回はバンドで演奏しながら作るというよりも、シーケンスでしっかり構成を作り込みました。歌い方もなんかね、自分の声が楽器みたいな感じで…。」

──シーケンス作業の延長みたいな感じでできた?

フミ「そう。“もうちょっと、ぶりっ子してみようか?”とか試してみたり。なんだろ、遊びに近い感じだったんですかね?(笑)」

──でも、そんな良い意味で肩の力の抜けた感じも含めて、現在のPOLYSICSをアピールするシングルかと。初回限定盤の特典ライヴDVDには、1000本記念ライヴの全18曲がダイジェストで収録されていて、やりすぎなほど盛りだくさんな内容ですが、1000本目のライヴは振り返ってみていかがですか?

ハヤシ「当日はそんなに気張らず、“いつもの良いライヴをやろうぜ”って感じだったんですけど。お客さんの“おめでTOISU!”の空気がすごくて、“あったけぇ風呂!”ってくらい心地良かったです(笑)。ライヴに挑む気持ちはいつも通りだったんですけど、あの空気感は味わったことない感覚でしたね。ビックリしました。」

フミ「逆に15周年記念ライヴは“お祭り気分でいこう!”って感じで、私たちもモードを変えてできたのが良かったしね。」

ハヤシ「そうそう。VJを入れてみたりいろんなことも試せて、やっぱりあの二日間はひとつの節目になりましたよね。」

──楽曲では変わらないポップさに加えて新しい一面も見せて、映像ではライヴバンドとしての逞しさを見せてと。

フミ「充実してますね。でも、今はすごく充実してるけど、まだ3人になってトライしていないこともあって。もっともっとやることがあるから、さらに充実させることはできると思います。」

ハヤシ「『Oh! No! It's Heavy Polysick!!!』で自分たちの音がしっかり出せてバンドの基盤ができたから、『15th P』では15周年を利用してしっかり遊べて。その流れがあったから、こういう曲もできて。これからも良い意味で期待を裏切り続けるという基本姿勢を崩さず、いろんなことに挑戦していきたいですね。」

取材:フジジュン


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