シンクロ

台本通りのその台詞に
否定も肯定も訂正も口出せない
見逃していたその合図に
気付けない僕は拙い大根役者だった

君が欲しがっていた真実も嘘も
目を背けて頬杖ついていた夜も
今は少し鮮明に映し出せる気がしてる
そっと走りだしてた

おねがい、今君とシンクロしたいから　そのリテイクを鳴らして
ごめんね、今ならやり直せる　二度とあんな思いしたくない

遠ざかってゆく二つの影
飴玉みたいに溶けて無くなる
気付いた頃には巻き戻せない針
右回りの期日　追いつけないまま

不甲斐ない過去が行く手を阻んだ
赤信号　交差点　未来のビジョンに
明日は明日と立ち止まり
後悔の渦に僕は飲み込まれ溺れる

さよなら、とか簡単に言える癖に　まだ、この舌も噛み切れない
あいたい、気持ちを抑えられないから　僕は弱い人間だ

通り過ぎる中央線の音に掻き消された君の声　今も拾い続ける

おねがい、今君とシンクロしたいから　そのリテイクを鳴らして
ごめんね、今ならやり直せる　二度とあんな思いさせたくない
これが最後の我儘です。