2011-12-20

vistlip、作りものじゃない、唯一無二の“ORDER MADE”

 6月に発売したシングル「SINDRA」がオリコンチャートTOP10入りを果たし、注目度急上昇中のビジュアル系シーン新世代の旗手vistlipが2ndアルバム『ORDER MADE』を完成させた。本作をもとにその唯一無二な個性を紐解いてみよう。

──“ORDER MADE”というアルバムタイトルは、どんな思いで付けたものなのでしょう?

智 まずひとつ大きいのは“作りものじゃない”ということですね。このアルバムは僕らvistlipというバンドが発信する唯一無二のものだっていう。絵本を付けたりしてる点とか、この作品全体を表現する言葉としてもぴったりだと思ったんですよ。

──楽曲の世界観から創作した海くんのイラストと智くんの文章を合わせた絵本が付く“豪華ブックレット盤 lipper”ですね。

智 そうなんです。そういういろんなアイデアをなんとか上手くコラボさせたくて試行錯誤したアルバムでした。見せ方がファンタジーに寄りすぎちゃったり、逆にリアルすぎたり、本当に難しくて。だから、言ってみればブックレットの絵本とCDを合わせて聴くのと、絵本をファンタジーなお話として読むのと、曲と絵本の主人公を俺たちとして捉えてもらうっていう3つの聴き方、読み方ができるような作品になればいいなっていうのはありましたね。

──メンバー全員が作曲を手がけているのもあり、バリエーション豊富な曲が揃っているのが特徴的ですね。

海 “ウチらはこういうバンドだから”みたいなことは、俺ら自身がまず言えないですから(笑)。良くも悪くもいろいろやるんだねっていうふうにもよく言われますし。

Tohya コンポーザーによって個性が違って、一曲一曲で違う色を出せているのが僕たちの音楽だと思っているので。その中から良いものを選んで、みんなでアレンジしていく。今回の曲もそういうふうに作っていきました。

智 そう。個々の表現を突き詰めたらこうなったというか。で、その中で…例えば、瑠伊なら柔らかい方向、Yuhならイッてる方向の曲になって。

Yuh いきなり言葉悪いけど(笑)。

海 ただ、残念ながら“イッテる”っていう表現はあてはまってる。「XEPPET」とかイッテるでしょ!

智 で、楽曲的にその真ん中をいくのがTohyaかもね。

──まずYuhくんはアグレッシブな感じの曲が今作でも多いですが、ご本人的にはそういう要素を意識しました?

Yuh うん、入れようとはしてます。俺はやっぱりライヴをメインにして曲を作りたいから、たぶんそういう方向になるんでしょうね。いろんなライヴの画とかを想像した結果、アグレッシブなものができるっていう。

──対して、瑠伊くんは「milk&macaron」「Evil Rider」などすごく柔らかい雰囲気のメロディーが印象的でした。

瑠伊 最近は特にアグレッシブな要素は薄れてきていて、方向的にはポップに向いてるんですよね。それはたぶん、音楽をやり始めた高校時代はパンクとかゴリゴリしたものが好きだったんですけど、遡ると音楽への入口がジャニーズだったせいかも(笑)。

──かなり大胆に好みがシフトチェンジしたのですね。

瑠伊 そうなんです(笑)。一番最初に買ったCDがKinKi Kidsさんで。しかも、最近聴くのはJ-POP寄りになってきていて、嵐さんの曲も単純に良い曲だなって思えるものが多い。そういうことの影響があって、今回みたいなスタイルになってるのかなって気はしますね。

──で、そのふたりの真ん中にいるかもしれないのがTohyaくん。「the wonderland from LAB.」では本格的なエレクトロサウンドを取り入れていますけど、“LADY GAGAっぽいもの”というメンバーからのリクエストで作ったとか?

Tohya はい! “LADY GAGAの音ってどれだ!?”って音色を探すところから始めましたから。“こういうのやってみない?”ってメンバーから提案されたものは、まずやってみるんですよね。何をやるにしても上手くいくかはやってみないと分からないし、そうやって自分が作ったものをメンバーに持っていってアレンジすると、格段に良くなるケースが僕の場合は98パーセントなんで。

海 残りの2パーセントは何なんだろう(笑)。

──(笑)。そういう曲作りの中では、このジャンルはどうこうみたいなことは考えないのですか?

智 そんなおこがましく、“自分たちはvistlipというジャンルです!”みたいなことは言わないですけど…例えば、今回のアルバムには「Drama Queen」みたいなシャウトが似合う曲もあるし、サウンドはヘヴィなんだけどそれに合わせるにはシャウトは違うかなっていう曲にはラップが入っていたり。で、また他の曲ではメロディーを全面に出すみたいな。いろんなアプローチが使えるようになっていかないと、バンドをやってても面白くなくなっちゃうんで。

海 飽きちゃうね。

智 うん。“ファンが好きな曲ってこれでしょ?”みたいなのを狙って作ることもできるだろうけどね。

Tohya そういうことをすると、曲がどれも似たり寄ったりになっちゃう。

智 で、そのラップにしても何にしても、無理やり入れているわけではまったくなくて。

海 それをやったらカッコ良いだろうなって曲ができた時点で何の疑問もなくやるっていう、単純な話なんですよ。

──自分たちが面白いと思うものを純粋に表現すると、こういう多彩な作品が生まれるっていうことなんでしょうね。まさにvistlipだけの“オーダーメイド”な感覚で。

Yuh そうですね。周りの誰かに“こういうことをやれ”みたいなことを何も言われずに、自分たちのやりたい音楽がやれてるっていう結果のアルバムだから、もう本当に自由。俺らの名前は、正直まだ世の中に多く知られているわけではないですけど…このスタイルで俺たちが今後成功したら、本当に好きな音楽をやって成功した人たちなんだなって捉えてもらえるんじゃないですかね。

取材:道明利友

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