2014-05-05

グッドモーニングアメリカ、新しい名刺になるような曲にしたかった

 グッドモーニングアメリカがニューシングル「拝啓、ツラツストラ」をリリース。アニメ『ドラゴンボール改』のエンディングテーマに起用されたこの曲は、彼らの存在をさらに大きなフィールドに運ぶことになるだろう。金廣真悟(Vo&Gu)に訊いた。


──ニューシングル「拝啓、ツラツストラ」、素晴らしいです。前シングル「イチ、ニッ、サンでジャンプ」に続く強力な作品だし、グッドモーニングアメリカにとってもポイントになるシングルじゃないかな、と。

『ドラゴンボール改』のエンディングになるというのが先に決まっていましたからね。ターニングポイントではないですけど、今まで聴いてなかった人たちにも自分たちの音楽を聴いてもらえる良い機会だし、自分たちの新しい名刺を作らなくちゃいけないなって。だから、そういうふうに言ってもらえるのは嬉しいです。

──歌詞からも、シビアな現状から目を逸らすことなく、強い気持ちを持って進んでいくという姿勢が伝わってきました。

最初は“悩み続けてる系”だったんですよ。でも、(アニメの制作サイドから)“もうちょっと明るく、希望を差してほしい”っていう要望があって、そっちに寄せた感じですね。そのことでさらに良くなったと思います。

──“ツラツストラ”というのは、ニーチェの著作『ツァラトゥストラかく語りき』からきてるんですよね?

そうです。(ドラゴンボールの)スーパーサイヤ人から、超人、ツァラトゥストラというふうにつながって。

──ニーチェの“超人思想”ですね。

はい。3〜4年前くらいかな? 『ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ』というミニアルバムを制作してる時期にニーチェの本をよく読んでたんですよ。訳分からず、歌詞に“ルサンチマン”とか書いたりして(笑)。その前にゲーテを読んでたから、そこからの流れで読んでみただけなんですけどね。難しくてよく分からなかったから、解読書を読んで“なるほど、そういうことか”って思ったり。

──ニーチェの言葉って切れ味が鋭くてカッコ良いんですよね。有名な『神は死んだ』もそうだけど。

そう、カッコ良いですよね。ゲーテもそうなんだけど、削ぎ落としたカッコ良さがあるというか。

──アレンジに関して言うと、とにかくリズムが個性的ですよね。「イチ、ニッ、サンでジャンプ」にもシェイク系のリズムが採り入れられてましたが、新しいリズムを模索している時期なのでしょうか?アレンジに関して言うと、とにかくリズムが個性的ですよね。「イチ、ニッ、サンでジャンプ」にもシェイク系のリズムが採り入れられてましたが、新しいリズムを模索している時期なのでしょうか?

バンドの中で新しいことをドンドンやっていきたいという気持ちはありますけどね。今回の曲に関しては、Aメロのリズムをペギ(Dr)と相談したんですよ。最初はストップモーションみたいな感じというか、“いきなり止まって、また始まる”というのを繰り返してたんです。でも、ベースラインが加わった時に“リズムを止めないほうがいいね”とういうことになって。ベースが第2主旋律みたいな感じになっていて、ギターの自由度も上がって。みんながそれぞれ違うことをやってるというか、すごくいいなって思いますね。

──本当に独創的なバンドサウンドだと思います。最近は4つ打ちの曲が多いから、余計に新鮮に聴こえるというか。

4つ打ちの曲をやる理由もちゃんと作っていきたいと思ってるんですけどね。最近一番衝撃的だった4つ打ちは、西城秀樹さんの「YOUNG MAN (Y.M.C.A.) 」だったんですよ。

──あ、確かに4つ打ちかも。70年代のディスコソングのカバーですからね。

それだけでも捉え方が変わったし、“遅めの4つ打ちをやってみたいな”と思うようになって。俺とペギがよく行ってる飲み屋があって、そこは80年代や90年代の曲が流れてるんですね。この前、その店でマッチさんの“♪天使のような〜”(「ミッドナイト・シャッフル」/近藤真彦)がかかってたんだけど、ベースがずっとダウン・チョッパーなんですよ。それがすげぇ新しいなって思って。音楽(のトレンド)は回ってるし、昔のものを採り入れるのも面白いかもなって。

──興味深い(笑)。2曲目の「喝采」はスケールのデカい曲ですね。

プロデューサーの寺岡呼人さんに“グッドモーニングアメリカが横浜アリーナでライヴをやったとして、本編の最後に演奏する曲を作ってみて”って言われたんですよね。あと、この曲は完全に歌詞が先なんですよ。僕はメロディーやリズムから作ることが多くて、先に歌詞を書くっていうのはやったことがなくて。

──呼人さんはやはり、言葉を重視してるんですね。

うん、そうだと思います。僕のほうから“次の日も頑張ろうって思ってもらえるような曲にしたい”という話をして、“じゃあ、主人公は?”というやり取りを繰り返して。メロディーを決めるのは大変だったけど、歌詞がしっかり前に出る曲になったし、詞を先に書くのも面白いなって。

──しかも、本当にアリーナ・サイズの会場に似合う曲になってますよね。ぜひ横浜アリーナで聴いてみたいです。

ぜんぜん想像できないですけどね(笑)。でも、バンドとしてアリーナを意識するきっかけになったのは良かったなって思います。

──初回盤Bタイプに収録されている「メロディ」はストレートなラブソングですね。

この曲を作ったのはペギが加入する前なんですよ。デモとして残ってたんだけど、呼人さんに音を加えてもらって。…ちょっと恥ずかしいですけどね、こんなにストレートなラブソングを歌うっていうのは(笑)。たぶん、今よりも純粋な気持ちで書いてたんだと思いますね。

──5月30日からはワンマンツアー『7つの秘宝を探す冒険(読み:アドベンチャー)2014』がスタートしますが、今年に入ってから凄まじい数のライヴを行なっていますよね。ライヴに対するモチベーションに変化はありますか?

あまり気負わなくなりましたね。無理にアゲようとしたり、カッコ付けたりしなくても、その瞬間を楽しんでやっていれば、お客さんも自然と楽しんでくれるんだなって。ワンマンツアーは久しぶりだし、自分たちにしかできないエンターテインメントを見せたいと思ってます。

取材:森 朋之

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