2013-01-08

【vistlip】 偏見を覆すための激しく、力強い武器

 今年はシングルリリースも活発で、着実にリスナーへの認知を広げたvistlip。波に乗る今、放たれる新作ミニアルバム『GLOSTER』は、かつてなく“激しさ”を前面に押し出した一枚! そこに込められた真意を瑠伊(Ba)とTohya(Dr)に語ってもらおう。

──オール新曲のミニアルバム『GLOSTER』ですが、ミニアルバムという形態は久しぶりですね。本作はどんな想いの下に生まれた作品なのでしょう?

Tohya「結成以来、僕らは変わらず自分たちのやりたい音楽をやり続けてきたんですけど、最近テレビなどの露出が増えていくにつれ、“ポップ路線に行ってる”とか“メジャー志向になっている”みたいに、ファンから捉えられることが増えてきてしまって。僕らとしては…そういった勘違いをされることが正直とても不本意だったんですね。なので、この時期に攻めの姿勢を提示することによって、そういった偏見を覆していこうとあえて激しい曲ばかりを集めたミニアルバムを作ることにしたんです。“GLOSTER”というタイトルも戦闘機を製造していた会社の名前で、今までミニアルバムには武器の名前を付けてきたから、さらなる強い武器にレベルアップしたということを言いたくて。ただ、激しい曲ってどうしても似たり寄ったりになってしまう傾向があるから、激しい中にもメロディーをしっかり置くことで、それぞれの曲の個性を出すようには心がけました。」

瑠伊「アルバムの導入となる「Devil’s whisper」からして打ち込みメインのデジタリックな曲で、バンドサウンドは最後のサビくらいにしか出てこない。そういう曲は録ったことがなかったから、すごく斬新でした。リード曲の「GLOSTER IMAGE」も聴いていると耳馴染みがすごく良くて、他の曲がリードの候補に挙がっていたところ、俺が“これじゃなきゃ嫌だ!”って主張したんですよ(笑)。」

──デスヴォイスを交えて攻撃的な幕開けを印象付けるも、メロディー自体は非常にキャッチーですからね。「GLOSTER IMAGE」がリードになるのも納得がいきます。歌詞でも“距離が遠くなった”と嘆くファンに対する愛情にあふれた苛立ちが、恐ろしく直球で書かれていますね。

Tohya「はい。歌録りでも歌詞を見ながら聴いていたら、気持ちがダイレクトに伝わってきて、涙が出そうでした。」

瑠伊「俺は「夜」(llipper盤のみ収録の8曲目)とつながっているようにも感じたんですよ。「夜」が現実、「GLOSTER IMAGE」が理想を歌っているように見えて、すごく面白いなと。」

──「GLOSTER IMAGE」は《共に死んでくれ》だなんて、なかなかエゴイスティックな理想を歌っていますもんね。

Tohya「優しく仕向けるだけでは人は動けないから、あえて腹の立つようなメッセージで聴く人を動かそう…っていうのが今回の狙いなんですよ。7曲目の「Reincarnation」にしても、怒りの感情を刺激することで行動につなげていこうとしているところがあって。一見《てめぇごときの分際が》は罵倒しているような書き口ですけど、サビの《此処は新しい君を見つける場所》にある“此処”は、実はvistlipというバンドのことなんです。」

──どれだけツンデレなんですか(笑)。散々ツンを見せながら、最後の最後に唯一のスローナンバー「夜」で優しく包み込むという展開がニクい!!

瑠伊「制作中に智から“冬っぽくて切ないバラードを作ってほしい”っていうメールが来たんです。やっぱり最後はファンに対する想いをちゃんと伝えたいからって。それで一生懸命作って、歌録りの時は「GLOSTER IMAGE」のTohyaと同じく、俺も泣きそうでしたね。」

Tohya「激しい曲、テンポの速い曲を立て続けに聴いた最後に、こんな出だしのアコギから優しくて、心に響くメロディーや歌に触れると、心の汚れが洗い流されるような気持ちになるんですよ。これを作った瑠伊は本当にすごい!」

瑠伊「いやいや(笑)。ま、だから「夜」まで全部聴かないと僕らの真意は分かんないですよってことです。」

──「夜」は完全にデレですもんね。《君が僕を捨てる前に》とか、改めて智さんの歌詞は赤裸々だなと。

Tohya「そこがウチの魅力のひとつでもあるんですよ。普通は使わないだろう言葉も、彼はサラッと書きますからね。そうやって激しいサウンドの中にも、メッセージや歌がしっかり立っているところは、耳を澄まして聴いてほしいです。やっぱりウチの基本は歌ですから。」

瑠伊「要するに、vistlipの曲は二回楽しめるんです。歌詞のメッセージと、パッと聴いて単純に音で乗れるのと。」

Tohya「特に今回はホールが最終目的地になる東名阪ツアーを控えているということで、曲作りでもノリやすさはかなり意識したんですよ。リズムパターンに沿ってもらえれば、どう乗ればいいか自然と分かるはずなんで、ぜひ動きを揃えてライヴでは壮観な景色を見せてほしいですね。」

──ところで、今作は3形態でのリリースになり、中でも初回限定の豪華ブックレット盤には何やら仕掛けがあるとか。

Tohya「はい。透明のスリーブケースにコートだけが印刷されていて、被せるとジャケット上のメンバーがコートを着る、外すと脱ぐみたいな感じになってます。海(Gu)が昔からずっとやりたがっていた仕様なんで、ぜひ手に取ってほしいですね。あとは僕らが出演しているテレビ朝日系『BREAK OUT』のパロディー番組も収録されていますから、そこで僕ら本来の姿も見られるはずです。これが自分たちでも笑ってしまうくらい面白くて!」

瑠伊「ライヴでも演奏してる時以外は大体ふざけてるんで、そういった部分はツアーでもモロ見えのはず(笑)。最終日の東京国際フォーラムに関しては、あまりに規模が大きいので少し怖い気持ちもあるんですけど、そのぶん一生懸命練習して、大きなステージを上手く使えるように準備したいですね。ま、どんなふうに見えようと、こっちは常にやりたいものをやっているだけなので。今回がポップと言われることに対する反論だったように、今後も自分たちがやりたいものを発表していくつもりです。」

Tohya「だから、『GLOSTER』でvistlipを初めて聴いた方には、やはり過去の作品にも触れてもらって、僕らが激しいだけのバンドではないことを知っていただきたいですし。結成した時と何も気持ちは変わらないので、ファンのみんなには変に間違った見方はせずに、自分のペースでゆっくりvistlipに付いて来てもらいたいですね。」

取材:清水素子

(OKMusic)


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