2012-10-20
【THE MODS】ロックにはシビアな部分もあって、ユーモアもある
昨年のデビュー30周年のアニーバーサリーを経てリリースされる、ニューアルバムには現在のTHE MODSのモードが詰まっている。現在の時代を背景にナイーブな面も見受けられるが、攻撃的であり、タフネス。そして、もちろんロック!
──すごくロックなアルバムが完成しましたが、どんな作品にしようと思っていたのですか?
森山「サウンド的にどういうものにしたいっていうのは特になくて、それよりもバンド感を出したいってのはありましたね。なるべくライヴに近い…バンドがもともと持っている感覚を大事にしたいっていうか。ただ、今回は歌詞の部分が微妙な時期だった。前の年に30周年ってものをやったんだけど、震災もあって…自分たちとしては30周年をやって、周りからも激励や感謝の言葉をもらったんだけど、社会的な観点から見るとすごく悲惨なところがあったんで、そのへんの感覚でどういう世界観のものを書けばいいのか、ちょっと悩んだんだよね。」
──今回のアルバムの歌詞は、いつものようにシニカルに時代を切るとかではなく、リスナーであったり、自分に投げかけるものになっている印象があったのですが。
森山「そうだと思う。俺も思ったもん。果たしてロックって、音楽ってこういう時にどんな力があるのかって。やっぱりみんな自分を見直したと思うよ。自分の存在理由じゃないけど、“自分に何ができるのだろう?”とか“この先、どうやって生きていこうか?”とかをね。実際、“これからどうなるんだろう?”って思うような問題がいっぱい起こってるわけじゃない? 原発の問題にしても、放射能のことにしても、まだ終わってないどころか、今も進行形だからね。そんな中で、新しい曲を作るのに言葉を選ばないといけない…まぁ、震災からちょっと月日も経っているし、ある意味冷静に自分たちを見れたけど、無力加減と自分たちができることの大切さ、その両方があったんだよね。だから、もうこれは等身大で書くしかないかなって。」
──震災のことを歌った「あの日に」があるのですが、“頑張れ!”とかのメッセージではなく、《俺達はこの地球に 今、試されている》と自分も含め、日本の国民全員に訴えているような印象を受けました。
森山「実際に石巻に行ったんだけど、テレビで観る何百倍、何千倍の悲惨さだったから、“頑張れ!”とは言えなかったね。そこで自分が何ができるかと言ったら、ロックというもの中でビートに言葉を乗せることしかない…それも素直に感じたままの言葉を書くしかないと思って。あとは、ロックで楽しませてあげたいって。ロックというのはすごくシビアな部分があるけど、ユーモアを絶対に忘れちゃダメと思うわけ。ユーモアを忘れてシビアな部分ばかりだとつまんないし、ユーモアばかりだと“冗談じゃない!”ってなる。そのへんをうまく自分の中で多面的な部分を冷静に掴もうと思ったのね。自分はどう思ってるのかって。だから、“元気を出せ!”やどうすればいいとかは書けなかったんだよね。」
──そんな時代を背景にしているから、サウンド面でも攻撃的というか、ロックなものになったのですか? 「ARE YOU READY」や「ロックをトメルナ」はTHE MODSらしいスピリッツを歌ったロックナンバーですし。
森山「結局、自分が本当に大切なもの、好きなもの、愛するもの…それは人でもいいけど、それを考えさせられた時期でもあって、俺にとってそれはロックなわけ。だから、止まっちゃいけないなって。それをやることによって、さっき言った“頑張ろうぜ”や“元気を出せよ”っていうのを言葉じゃなくて、音で伝えられるんじゃないかなって。それがロックバンドの面白いところだし。言ってしまえば、インストでもいいわけよ。サウンドだけで、ビートだけで、勇気が与えられるはずだから。」
佐々木「去年の年末に石巻に行って、すごい光景を見てからドラムに対する気持ちが変わりましたね。音楽をやりたくてもできなくなってしまった人もいると思うので、そういう意味でもいろいろ考えさせられました。当然、そんな気持ちで、このアルバムのドラムも叩いています。あと、曲作りのリハーサルの時にドラムを叩きながら聴いてはいたんですけど、よく聴き取れなかったので、リハーサル後に飲みに行った時に“歌詞を見せてください”ってお願いしたんですね。特に「少年の頃」と「あの日に」なんですけど、その歌詞を読んで自分が思ったフレーズを叩いたりしました。」
──頭3曲がガツンとくるアルバムでもあるのですが、当初からそういう曲を頭に持ってこうようと?
森山「あったね。とりあえず、そういうモードだから余計にビートを効かせたヤツをやりたいってのが漠然とあったし、30周年が終わったっていうこともあって…はっきり言って“あと10年はやってください”とかいろんな声があったけど、31年目だろうが何だろうが、俺らが一番得意としているビートをやりたいと思ったんだよね。まだまだやれるっていうか、やるんだっていう自然な意思表明だと思う。」
──30周年を終えて、ますます尖ってますけどね(笑)。
森山「1曲目から“ARE YOU READY”だからね(笑)。」
──攻めてますものね(笑)。そして、4曲目の「OPERATION BOP」がさっき言われていたユーモアな部分なのかなと。
森山「そうね。こういうロックンロールの楽しいところ…歌詞を書く時も、“俺、何でロックを始めたんだろう?”って。十代でロックに出会った時のことを面白可笑しく書きたいと思ったし、プラス自分が今やっていることってのいうのは、ひょっとしたらTHE MODSを欲しがっている人を楽しませるためのオペレーションのひとつなのかなと思ったのね。踊らせる、歌わせる、叫ばせる…“泣かせる”だっていいし。だから、自分がガキだった頃のことから書いていって、サビで男も女も、犬も猫も(笑)、踊らせることが俺の仕事なんだって。」
──そんな歌詞が乗るわけだから、サウンドも50’sや60’s風に?
森山「やっぱりそういう曲が好きだし、昔からやってたし、“BOP”って言えばこうだろうって。」
佐々木「それって森山さんたちは体に染み付いていると思うんですけど、僕の場合はすごい新鮮でした(笑)。ルーズな「JUKE BOX DAYS」に関してもですけど。よく聴いてはいたんですけど、“聴く”と“演る”とでは全然違うんだなって。いろんな意味を含めて、楽しかったですけどね。」
──やはり、軽く跳ねる感じのビートは難しかったですか?(笑)
佐々木「初めてレコーディングで“頑張るな”って言われました(笑)。」
森山「力いっぱいで叩くからね(笑)。頑張って叩くからバップしないんだよ。ロックになっちゃう。」
佐々木「僕の時代はグリーン・ディとかを聴いて、そういうのばっかりやってたんで(笑)。またすごく勉強になりました。」
──そういう曲もあれば、「HIT GIRL」や「FAKER BUT SHAKER」はTHE MODSらしいナンバーですね。
森山「このへんはね、解散するまで染み付いているものだと思うから、自然に出てくるんじゃないかな。こういうタイプの曲はライヴをやってて楽しい。ただのパンクっていうわけじゃないし、そのへんが俺たちが長くやってきたことの財産だと思うわけ。それをTHE MODS風に料理してやれば客も喜ぶし、俺らも楽しいし。」
佐々木「これまでの6年で僕にも染み付いている部分があるので、このビートってやってて楽しいですよね。」
──苣木さんが歌う「GOOD TIME BAD TIME」も、北里さんが歌う「BOOM OR BUST」も軽快なロックンロールですね。
森山「そうね。やっぱりライヴをやることを想定すると、お客さんを楽しませてあげたいっていうのがあって…せっかくあのふたりが歌うんであればね。そのへんは本人たちも考えて曲作りをしていると思うよ。まぁ、俺の中ではいつかやりたいと思っていることがあるんだけどね。すごく作り込んでいって、今までのTHE MODSにはないものを作りたいっていう欲求もあるにはあるんだけど、シュウが入って…さっき6年って聞いて“そんなに経ったのか!?”ってびっくりしたんだけど(笑)、まだ今はTHE MODSのビートを固める時期だと思うわけ。そのために今までにもいろんなハードルがあったと思うし。やっぱり、そこをきっちりとしていって初めて、凝ったことができる…THE MODS的な『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』(1967年に発売されたビートルズの8作目のオリジナルアルバム。中期の実験的なサウンドの集大成として語られることが多い)みたいなね。まぁ、あそこまでものは作れないけど(笑)。THE MODSの中でのそういうレコーディングワークをいつかしてもいいかなと思っているんですよ。きっとレコーディングの期間も長くなるだろうし…まぁ、まだ今はバンド感をもっと強力なものにしていかないとダメかなって思うけど。」
──時代感もありますよね。今のような混沌とした時代にはストレートに音を出すほうがいいと思います。そういう意味でも、今回のアルバムはスリリングで、まさにバンド感が前面に出た作品になったのかなと。ギターがバンドを引っ張ってるし。
森山「俺は基本的にTHE MODSはギターバンドだと思ってるしね。だから、ギターで引っ張っていくっていうのは、そうあってほしいと思っているし、そこにビートが重なれば…っていうか、ギター一本でもビートを感じないと、それはロックじゃないと思うのね。今ってバンドの数は増えてきているけど、一発音を聴いただけで“あっ、あいつらだな”って分かるようなバンド感を感じれるバンドって少なくなってきていると思う。俺たちの十代の頃に比べるとテクにしても、今の十代ってすごく上手いけど、そいつらの音が聴こえないんだよね。今って便利になったし、いろんな情報も入りやすくなったから、みんなのレベルは上がっているんだけど、どうも顔がないというか。俺はバンドの大事さって、そこだと思うから。要するに、いいギターはいっぱいあるし、いいアタッチメントもいっぱいあるし、いいスタジオもいっぱいある、だからみんな同じ音になってしまうっていう欠点があることを、みんなは気付いていない。コンピュータを使ったりもしているし。やっぱりダイレクトに自分のギターをアンプつなぐ。そうすると自分の音しか出ないもん。そのへんを大切していかないといけない…それは俺たちも常に思っているしね。ただ、それは確かに難しい。いろんなデコレーションがあったほうが上手いように聴こえるし、おいしく見えるもんね。もちろん、いいバンドはたくさんいるけど、ロックに関して言えば、もう少し出てきていいと思うよね。聴いてて、“うわっ、スリリング! ひとりがサボると、このバンドはアウトやね”っていうようなね(笑)。ひとりがサボっても大丈夫なようなバンドじゃ、つまんないし。」
──同感です! では、今回のアルバムのなのですが、THE MODSにとってどんな作品になりますか?
佐々木「前回が渋いアルバムだったんで、弾けたものになったなって思います。なおかつ、バリエーションもある…自分にとって初めてのビートもありますしね。改めて、元気のいいアルバムだと思います。頭の3曲を聴いてもらえれば、それが伝わると思いますけどね。」
森山「“JACK & JOKER”っていうタイトルの裏の意味にも込めてるんだけど、“JACK”ってのは王様と女王様を守る歩兵で、それをロックに置き換えると攻撃的な部分であり、シビアな部分…“戦い”なんだよね。頭の3曲なんてまさにそうだろうし。でも、“JOKER”ってのは悪戯があったり、運命をコロコロと変えて楽しむ…“ジョーク”なんだから、ある意味ユーモアなんだよね。それもロックには必要であって。要するに、シビアな部分もあって、ユーモアもある、そういうものがロックなんだよっていうのを、このアルバムのタイトルに込めてる。そういう部分を解散するまで忘れたくないっていうか。だから、そういうアルバムになっているとうれしいよね。」
取材:石田博嗣
(OKMusic)
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