古びた路地裏の角を右に曲がると、
機械仕掛けのウサギの時計屋あります。
チグハグに時を歩ます時計に囲まれ、
カラッポな時間の中でネジを巻きます。

青い瞳を持つ少女が訪ねてきて、
「私の瞳と同じ色の空を下さい」と。
空も月も太陽も見えないこの店は、
置き去りの時間の中で廻り続ける。

「あなたの話してる空が僕には解らない…。」
キリキリ、ネジを巻く音でウサギは泣いた。

「カラッポな世界で生きる真っ白な僕の
この瞳には何も映らないのです…。」

古びた路地裏の角を右に曲がると、
機械仕掛けのウサギの時計屋あります。

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