2014-04-21

SCREW、SCREWの進化を見せ付ける退廃的舞踏曲

 結成8周年を迎えるSCREWが、そのアニバーサリー・デイを盛り上げるシングル「FUGLY」をリリース。ライヴでの理想的な光景を描いた、一聴してステージでの高い即効性が分かる、今後の代表的存在となりそうなマテリアルだ。

──「FUGLY」はインダストリアルでダンサブルな印象ですが、どんな思いのもとに書かれたのですか?

鋲 バンドの誕生日が4月23日なんですけど、8周年を迎えるその日にリリースされるということで、パーティ感があって、馬鹿騒ぎできるような曲をと。でも、ただ明るくポップなだけというのは自分たちの色ではないので、SCREWらしく毒々しい感じにしようとメンバー全員に話はしましたね。そこからジンがもとになるものをかたちにして。

ジン その時にダンスナンバー的な、コール&レスポンスが起こる感じというキーワードをもらったんですね。そこで個人的に好きな音は入れつつ、最近のSCREWの楽曲の音の感じもあるというイメージで作ってみました。ど頭のシンセが鳴ってるフレーズは時間がかかりましたね。気持ち悪いけどカッコ良い、そんな音にしたいなと思ってました。

マナブ 当初はここまで打ち込みが前面に出るイメージではなく、もうちょっと生っぽかったんですよ。最終的には半々ぐらいの割合なのかな。こういうバランスのシングル曲はあまりなかったんで、その意味では、(SCREWに)軽く触れてるだけの人には、ちょっと印象が違うかもしれないですね。

ルイ 個人的には今までで一番挑戦したことが多かったので、手応え的な部分はズバ抜けてありますね。

──その挑戦とは具体的にどんなことだったのですか?

ルイ 原曲を聴いた時に、あんまり生っぽすぎるベースを前面に押し出さないほうがいいかなというアイデアがあったんですね。そこで自分でフレーズを全部作ったんですけど、まったく同じシンセベースの打ち込みとふたつ鳴らして、セクションによってどちらかを強く出したりってことを何度も繰り返してみて。その差し引きの具合は勉強になりましたね。

和己 やっぱ、このテンポ感の4つ打ちで表題曲ということで、新しい部分が見せられたかなというのは単純にあるんですけど…ミックスが難しかったですね。バンドサウンドのほうに偏っても、クラブミュージックのほうに偏ってもダメだし。一番いいところに落ち着いたかなとは思いますね。

──最近の流れで言えば、自他ともに認めるSCREWのバンドサウンドの力強さが押し出されてきた中で、この楽曲はいかなる曲調でも芯はブレない自信の証とも言えそうですが。

和己 そうとらえてもらえると嬉しいですけど、そういった意図は実はあまりないんですよ。常に進化を続ける中で、あくまでもバンドサウンドを基本とした挑戦というか。

──タイトルに冠された“FUGLY”は“Fuckin' Ugly”を縮めたスラングですが、反語的な意味を想起させますね。

鋲 タイトルは後から付けたんですけど、ライヴでの理想の世界を思いながら歌詞は書きましたね。“もっと俺に醜いところを見せてくれよ”っていう。美しさと醜さは紙一重ですから。もっともっとライヴでそういった光景も見ていきたいし、こちらも今まで以上に心を開放していかなければいけないと思うんですよ。そうすべき状況にバンドも立っているので、もっともっと深いところまで行かないと消えていってしまう。そんな危機感もあります。もっとぶっ壊れていかないと、ですね。

──実際、リリースに先駆けてライヴでも披露していたようですね。

ルイ 新曲って初めて聴く人が大半なので、客席からも探り探りといった空気を今までは感じてたんですけど、「FUGLY」ではそういう戸惑いみたいなものを感じないんですよ。それぐらいライヴで強い曲なんだなぁと思ってますね。

鋲 踊ってもいいし、ジャンプしてもいいし、思い描いていた画が早くも見えてきているんですよ。やり続けていけば、ライヴの代表曲的な存在にもなるんじゃないかなと思います。

──カップリングの「呪縛は永劫に...」はヘヴィなスクリーモ感が魅力ですが、多彩な展開に惹き付けられます。

ジン ライヴで映える曲をテーマに作ったんですけど、デモの段階では、正直、今までやってきたようなテイストだったんですよ。そこら辺は変化が欲しいなと、この緩急を付けたストーリー性のある楽曲に最終的に仕上がったんですね。

マナブ 切り替えがすごく激しくて斬新ではあるんだけど、そう言えばSCREWってそういうバンドだったよなって。でも、ここまで起伏がある曲は今までなかったと思いますね。

和己 多分、僕らSCREWに自然と馴染んでくるような楽曲だと思うんですよ。そこに僕らにとっては、マイキー(・ドーリング)さんが参加してくれたのも大きいですよね。

──ヘヴィロック界の伝説的バンド、SNOTのギタリストですね。本作では彼がギターソロをプレイしているという。

和己 そう。僕らの「Red Thread」という曲をプロデューサーさんがマイキーさんに聴かせたところ、その時から、今後、何か面白い企画ができたらいいよねって話が水面下で動いていて、それがやっとかたちになった感じですね。

ジン 僕はこの話をいただいた時は、“あんな大御所の方が!?”ってすごい衝撃がありましたね。

──歌詞は精神的抑圧や、過去にとらわれて前に進めない人といった世界がベースになっているのだと思いますが…。

鋲 まさしくそうなんですけど、その世界を表現したかったわけではなく、そんなことを考えていても意味がないよって。もちろん歌詞に意味はありますけど、曲が言っていることを言葉にした感じです。

──和己くんのギターソロをフィーチャーしたバージョンも配信のみでリリースされますが、そちらはお馴染みのタッピングではなく、ワーミープレイなんですよね。

和己 そう(笑)。マイキーさんのソロは、すごく柔らかい印象だったんですよね。なので、僕はもともとのサウンドを踏まえた、もっとエッジが効いたものにしようかなと。ライヴではどちらを弾いてもいい状態にはなっているので、その時々でまた違う楽しみ方もできそうですね。

取材:土屋京輔

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