2014-10-03
GRANRODEO、夢と現実の狭間にいるような、まさに“迷宮”のアルバム
GRANRODEOの6枚目のアルバム『カルマとラビリンス』が完成。アニメ『黒子のバスケ』主題歌などヒット曲も収録しつつ、今までになかった新曲も多数。1度聴き始めたら何度でもリピートしてしまう1時間超えの大作になった!
【「Blue Pandora Box」と「silence」の2曲は組曲に!】
──アルバム『カルマとラビリンス』ですが、全体像はいつくらいに?
e-ZUKA 制作の最後のほうでしたよ。ツアー中に何となく曲を溜めていって、選曲していく中で「Blue Pandora Box」がスタッフの間でも評判良くて、それを広げていったらいいんじゃないかと。で、2曲目の「silence」とつなげて、組曲みたいな感じでできて。それからじゃないですかね、何となく全体が見えたのは。それが8月の頭なんですよ。
── ついこの間じゃないですか(笑)。それにしては、1時間超えの大作になりましたね。
e-ZUKA それは最初気付いてなくて、もう少し今までとテイストの違う曲も入れたほうがいいのかな?と思って、最後の最後までどうしようかってやっていたんですけど、時間を見たらもう1時間超えていて。そこでCDって何分入るんだっけ?って(笑)。自分でも通して何度も聴いてますけど、あまり長い感覚はなくて、ラストの「DAWN GATE」まで聴くとまた頭に戻して聴きたくなる。それこそまさに“迷宮入り”… (笑)。
── “カルマとラビリンス”というタイトルは、単純に訳すと“業と迷宮”となりますが、KISHOWさんとしてはどんなイメージでしたか?
KISHOW 今回もアルバムのタイトルから決めようということで、“カルマとラビリンス”と付けたんですけど、その時点ではまだアルバム用の新曲がなくて、シングルとカップリングの収録曲だけ決まっていて。そこで考えた時、「絶頂ポイズン」というおとぎ話的なものがあったり、「DARK SHAME」とか世界観が濃い楽曲が多いなと思って。それで何となく、今までとは違う感じがいいなとか、前回とは違う色が出せないとつまらないというのがあって。それに今までの5枚のアルバムは全部英語のタイトルだったんで、カタカナとかひらがながいいなと。“カルマとラビリンス”ならインパクトも強いし、一瞬なんだろう?って引き付けるものがあるし。でも、パッと思い付いたんで、意味まで深くは考えてなかったんですよね。正直言って俺も何だかよく分かってないんです(笑)。
──このタイトルのおかげで、「絶頂ポイズン」や「偏愛の輪舞曲」とか、個性の強い曲が違和感なく一枚に収まることができたというのもあるような。
KISHOW そこはイメージしていましたよ。
──今回は表題曲がなくて、代わりにリード曲となるのが、1曲目の「Blue Pandora Box」と2曲目の「silence」。これは、MVではひとつにつながっていますよね。
e-ZUKA そうそう。最初に表題曲はどういうのがいいのかな?って。もういい大人だしと思ってサザンオールスターズっぽいのを作ってみたり、甲斐バンドっぽい原点回帰的なのもいいんじゃないかと作ってみたり、いろいろ試していた中に「Blue Pandora Box」もあったんですよ。僕の中でこの曲は、R&B/ヒップホップ的なテイストもありつつ、クイーンの「We Will Rock You」的な感じもありつつというもので。これをベースにして“カルマとラビリンス”という世界観に広げていったら面白いんじゃないかと思ったんです。
──「Blue Pandora Box」のように、ストリングスを全面的に使った曲は、今までなかったですよね。
e-ZUKA ギターもベースも入ってないですしね。この曲では、アディショナルでプログラミングをやってもらった方に任せたんです。僕がやると、どうしても今よくあるシンフォニックメタルみたいなものになってしまいそうで。プログラミングで、弦の音色を付けてもらったり、効果音をガンガン入れてもらったりしているんで、それが功を奏しました。
──壮大な「Blue Pandora Box」に続く「silence」は、ハードロックやメタルの様式美を感じさせる楽曲で。でも、まったく“silence”じゃないっていう。
KISHOW そうそう。そこもツッコミ待ちみたいな。“silence”ちゃうじゃん!って(笑)。要はギャップです。世の中、ギャップがあるものがウケますから!
e-ZUKA ベタベタの様式美の曲も1曲欲しいなと思っていたところで、じゃあ2曲が一緒になって組曲みたいな感じにしたら、“カルマとラビリンス”という世界観とも通じるんじゃないかと。面白いのは、この曲ってサビが2回しか出てこないんですよ。ちょっと歌っただけで、もう間奏に入るっていう。しかも、間奏がやたら長い。で、その間奏にかけ声を入れることで、組曲感をより出していますね。
【デヴィッド・リンチの映画にある夢と現実の狭間の世界観】
──「変幻自在のマジカルスター」に続く「ボルケーノ」は、すごくストレートなロックンロールですね。
e-ZUKA たぶん一番最初にできたのが、この曲です。この頃、アイルランドのザ・ストライプスというバンドを聴いてて。若いけど古臭いロックをやってて、カッコ良いんですよ。で、歌とリフが交互に入る、こういうシンプルでストレートな曲っていいなと。そこにアン・ルイスさんとか相川七瀬さんとか、女の人が歌う昭和の歌謡ロックのテイストを加えたのが、この曲です。これまでのGRANRODEOの曲で言うと「欲望∞」とか、こういうテイストはたまにやってるんですけど、ライヴでも結構人気が高いんです。
KISHOW これはもう、サビの頭で《ボルケーノ》って言葉をハメた時点で、勝った!みたいな感じでしたね。あとはボルケーノに似せていかに遊ぶかだったんで。
──歌詞にある《やったるけぇの》は、地元の山口弁ですか?
KISHOW 中国地方の方言ですよね。岡山とか広島とか。“じゃけえ”とか“何とかけぇの”とかよく使うんで。
── “ザーメン”って言葉も出てきますが。
KISHOW 椎名林檎さんも使ってますからね。先達がいるんで大丈夫です。確かに一瞬、待ったが入りましたが、ズリセンだ何だと、さんざん歌っているんで、今さらでしょ(笑)。
──「wonder color」はファンキーなサウンドで、今までになかった感じですね。
e-ZUKA ファンキーで、バカっぽいのが欲しかったんですよ。Bメロなんか、そもそもメロディーじゃないし。
──男の低い声で英語のナレーションみたいな。
e-ZUKA そうそう。『男女7人夏物語』の主題歌「CHA-CHA-CHA」で、そういうところがあって。あれで声をやっているのは、つのだ☆ひろさんですけど、ああいう感じでKISHOWにやってもらって、ピッチを下げました。
KISHOW あと、《シャカブーン》とか、意味不明の合いの手が入ったりっていう。ああいうのは、岡村(靖幸)ちゃんも使ってるし。洋楽だとこういうのって、よくありますからね。
e-ZUKA そういう擬音とか、メロディーじゃないものでつないでいく、変な構成の曲をやったら面白いんじゃないかって。
──サウンド的には、ピアノが効いてますよね。
e-ZUKA これはプロデューサーのアイデアで、オルガン奏者の河合代介さんが弾いてくれているんです。大貫妙子さんとかやっている方で、昔にピアノでお願いしたことがあったんですけど、オルガン奏者が弾くピアノってすごく独特なんですよ。ピアニストが弾くピアノとは違う、良い意味での緩さがあって、それが曲にすごく合ってていて、カラフルっていうか…それで“wonder color”っていう(笑)。
KISHOW そこまで考えて付けてなかったけど(笑)。でも、この作詞はすごく楽しかったですよ。今までのGRANRODEOにはなかった毛色の曲調だったから、歌詞も今までになかった感じにしたくて。自分のことを歌いながら、ファンにも語りかけているようなものが出せたと思います。
──河合さんの他には、アディショナル・ミュージシャンの方はどのくらい入っているんですか?
e-ZUKA 「Blue Pandora Box」の弦とプログラミング、「桜色第2ボタン」でコーラスが入っているくらい。あと、「DAWN GATE」の頭にある、映画のストーリーテラー的な感じのナレーションですね。これは有名なナレーターの方にやってもらった…というのは嘘で、スタッフにたまたま英語がしゃべれる人がいたんで。デモではキング牧師の演説を入れていたんですけど、Dメロの歌詞を英訳してハメたら演説っぽくなくなっちゃって。じゃあ、ストーリーを語るようにしようかって。それこそ『ロード・オブ・ザ・リング』とかの、ファンタジー映画の冒頭によくあるような感じです。
──その「DAWN GATE」は9分弱もありますよね。もともとシングル「The Other self」の時に「DAWN GATE "Unfinshed"」として発表していましたが、それをアルバム用に長くしたのですか?
e-ZUKA いえ、もとから長かったんです。例えば、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」は日本ではラジオエディットの短いバージョンが先に出て、後からアルバムの長いバージョンが出たんですけど、長いほうがもとになっている…そういう感じですね。ただ、もともと8分くらいだったのが、弦アレンジを考えていたら何となくさらにイントロを付けたくなっちゃって、それでどんどん長くなってしまったんです。でも、「DAWN GATE」のおかげで、よりコンセプチャルなアルバムというイメージになったと思いますね。
──なるほど。KISHOWさんの中で、作詞の部分で一番苦労したのは、どの曲になりますか?
KISHOW やっぱり「Blue Pandra Box」と「silence」でしょうね。アルバムのタイトルを“カルマとラビリンス”と自分で付けて、そのリード曲となるわけですから、責任を取らないといけないし。それに曲調が壮大なスケールだったから、軽い言葉じゃ成立しないと思ったし。その点で僕はもう、頭の2曲は地続きで考えているんです。そもそも、頭の2曲を1曲として“カルマとラビリンス”というタイトルの曲でいいじゃないかと思ったんですけど、2曲に分けるということで。だからと言って、1曲目が「カルマ」で2曲目が「ラビリンス」というのでは、ストレートすぎてバレバレでカッコ悪いし。結果としてふたつに分けてはいるけど、ふたつでひとつの世界観を想像してくれたら嬉しいですね。でも、正直言うと、イメージはわりとあったんですよ。ネタバレみたいになっちゃうけど、デヴィッド・リンチの映画によくあるような、夢と現実の狭間にいるような世界観というか。そこに僕なりの解釈を加えて表現した感じです。ああいう不思議な世界観はすごく好きなので、それを言葉として表現したらどうなるかなと。これは毎回そうではあるんだけど、基本的に歌詞の世界観は僕のものなんです。でも、頭の2曲に関しては、僕の個人的な趣味がより強いかもしれないです。
──さて、来年にはライヴツアーがありますが、この作品をどうステージで表現するか楽しみですね。
KISHOW 「DAWN GATE」は、9分50秒バージョンを1回くらいはやらないといけないのかなって(笑)。
e-ZUKA ホールツアーなので、シアトリカルというか、多少演出が入る感じになると思いますね。頭の2曲と最後の曲は、世界観として重要になることは間違いないので、そこの演出に一番お金をかけたいと思います(笑)。
取材:榑林史章
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